東京園芸資材販売 株式会社
 
◎園芸の歴史
陶器と文化<前編>
講師:カクタニ商店 角谷修治

園芸サポートでは、知っておきたい園芸の話として、色々な情報を提供してまいりましたが、
今回は、園芸とは切っても切れない「陶器と文化」についてご説明いたします。
陶器鉢の起源とはみなさんもご存知の通り、偶然から出来てしまった?土器からスタートします。
土を焼くと、器ができる?まさに当時の縄文人からして見れば、画期的な発明であったことでしょう。
これは、日本に限らず、世界中で同様なことがおきていたのです。
今回は日本に限らず、前編、後編に分けて、世界の陶器事情もご説明してまいります。
しかし、この限られたページ内では、ほんのさわりの部分でしかご紹介しきれない部分も多分にございますが、
ご了解ください。








1970〜1990 さつきブーム等による駄温鉢、素焼鉢、盆栽鉢の全盛時代
ローラーマシーン、トンネル窯などにより大量生産が実現。
中国などからの輸入鉢も入るようになってきた。
1990〜2000 さまざまなインテリア鉢が製造されるようになり市場の拡大、分散
三河陶器鉢組合等が先駆者的にさまざまなインテリア鉢を製造し業界を活性化。
・プラ鉢の攻勢に遭い陶器鉢市場が一時低迷。
・さまざまな国からの輸入陶器鉢が市場に広まる。
・相乗効果で陶器鉢が見直され再び活性化する。
2000〜 国内景気の低迷により思うように伸びないが陶器鉢需要はあらゆる種類、材質といった選択の幅が広がり市場において安定した模様である。
今後 今までは景気にあまり左右されない業種であったが、今後の国内景気の動向も気にしないわけにはいかないであろう。
これからの21世紀の町、家庭、一人一人の心を豊かにする一助になれればと陶器業界各社は日々精進しております。





一般的な素焼鉢は焼成温度が700〜900℃程度で白っぽく排水性、通気性に優れているため、
栽培に適している。反面焼成温度が低いため,強度はなく壊れやすいです。
温室鉢ともいうこともあります。主に、通気性、排水性を目的として作られており、蘭類の生産や、
挿し芽や種まき用にもちいられます。




市場で一番広まっている鉢である。焼成温度は1170℃程度で、素焼鉢より硬く丈夫である。
素焼鉢より排水性、通気性は劣るが草花を育てる上では十分である。価格も安価であるため、
総合的に優れた商品である。みなさんも小学校の時に朝顔などの栽培で親近感がある鉢だと思います。
日本国内では一番流通している物です。




駄温鉢の進化版です。デザインを施したり、形状を変えたりして、駄温鉢が和風なのに対して、
赤焼鉢は洋風のイメージで作られています。焼成温度は駄温鉢とほぼ同じくらいである。
形、柄などさまざまあり、種類は豊富です。性質も駄温鉢と同じように草花を育てるのに適してます。
最近では白土で作る白焼鉢もあり人気があります。




焼成温度が1200〜1250℃前後で高温で焼くため硬焼きになっており、
しかも、釉薬がかかっているため、排水性、通気性は劣ります。
ですから、素焼鉢、赤焼鉢などで育て上げ観賞できるようになったら、
化粧鉢に植え替えして楽しむのがよいでしょう。
価格も高額な部類になるので、洋らんなどの高級植物によく用いられます。




基本的には,窯で焼かれた陶器の総称でありますが、最近では輸入鉢中心に呼ばれているのが
現状でしょう。特にイタリー鉢、東南アジアの鉢などがあります。
生産地により粘土の質、焼成温度の違い等がありますが、総体的には焼成温度は
900〜1100℃程度で排水性、通気性はありますが、多少もろい商品もあります。
しかしながら流行によりさまざまな輸入テラコッタが国内市場に入っているため、人気はあります。







(1) 土器のさらに進歩した焼物で、素地(きじ)が十分焼き締まらず吸水性があり、不透明で、その上に光沢のある釉薬(うわぐすり)を用いたもの。粟田焼・薩摩
(2) 陶磁器の総称。やきもの。せともの。



 *素地が焼き締まっていないのが陶器で、焼き締まりガラス化しているのが磁器
 *吸水性があるのが陶器で、ないのが磁器
 *有色なのが陶器で、白くて透明性があるのが磁器
 *土で作るのが陶器で、(陶)石で作るのが磁器








 ここでは三河産の駄温鉢を元に大量生産用の商品の作り方を紹介します。


山や川から掘り起こされた土砂を土工場にてふるいにかけて厳選します。
その土工場からの土がトラックにて各陶器鉢メーカー等に運ばれます。




土工場から運ばれた土は、各陶器鉢メーカーの土置き場に蓄えられ、そこから土錬機に入れられ、
土錬機でさらにきめ細かに練り直され、粘土として陶器鉢製造の工程に入ります。




の粘土がローラーマシンという陶器鉢製造機の型の中に入れられローラーで形造られます。



ローラーマシンで形造られた素地はベルトコンベアー等で次の工程である乾燥機に移動します。



ローラーマシンで形造られた素地(きじ・焼成前の植木鉢)を乾燥機にかけ、
素地が乾くまで数日、乾されます。




乾いた素地は、次に釉薬を吹き付けます。そしてさらに十分に乾燥を重ねます。
(左画像のように吹き掛けられた釉薬は灰色っぽい色をしておりますが焼成されると茶色になります。)




乾燥された生地はいよいよ窯に納めるための台車に運ばれ、火のまわりがよくいきわたる様に
整然と並べられます。そして、窯に入れられます。窯には現在、主にシャトル窯、トンネル窯があります。
およそ丸1日焼成したあともう数日かけてゆっくりと冷まします。(気候、商品によって違いがあります)




窯から出された陶器鉢は、まずキズ・ワレがないかどうか一つ一つ選別をされます。
選別を通過した陶器鉢は1束づつ梱包されます。




梱包された陶器鉢はさらにパレット梱包され、それぞれの置き場にて出荷を待ちます。






キズにも色々あります。
基本的に鉢の縁を木槌でたたいて音がしまっているものは商品もしっかりしてます。
音が鈍い商品はどこかにヒビかキレがあるはずです。


底切れ 鉢の底にできる切れですが、一度しっかり焼いていますから、少しくらいの切れでしたら問題ないでしょう。水はけがよくなることも。
縁切れ 鉢の側面にできる切れの事ですが、これは、見た目も悪く、土、水が出てきたり、切れがひどいと、草木が育ったときに、根が外に向かって育ちますので、鉢が割れる恐れがあります。でも、特価品で売ってたらお得な場合もあります。
冷めキズ 窯の中の温度が急激に下がった時などにできる。見た目には分かりにくいが、音をたたくと鈍い音がします。
鉢の音の高低 木槌でたたいて音がいいものの中にも音の高いものから、低いものへの音階みたいなものがあります。
音の高い商品は、基本的に焼成も赤焼鉢(1200度前後)の様に高温で焼かれております。
音の低い商品は、素焼鉢(800〜900度前後)のように低音で焼かれております。







釉薬の原料には、長石、カオリン、珪石、石灰石、灰などの天然原料と、炭酸バリウム、
亜鉛華などの化学原料があります。また、釉薬をきれいに溶かす溶融剤と粘土分等があります。
原料は原石等から左画像のように粉末状にして使うのがほとんどです





    
さまざまな原料の配合をしたものを練り、水などをいれてさらにかき混ぜます。
いろいろな配合により、色の種類は無数にあります。
また、配合液は、焼成後、まったく違う色になることがほとんどです。
釉薬は、微妙な条件の違いで、良し悪し関係なく、思いもしない色に焼けてしまったりすることもあり、
かなり神経のいる作業であり奥深い所があります。




  
色の比率どおり調合された釉薬は、大きめのポリバケツ等の中に入れて左の画像のよな方法で、
植木鉢の生地(焼成前の植木鉢)にムラなくかけます。
駄温鉢等は流れ作業で釉薬を吹き掛けるシステムがあるので自動噴霧器で次々と吹き掛けていきます。
その後、さらに乾燥を重ねた後、いよいよ焼成に入ります。
釉薬のついた植木鉢は、普通の素焼鉢より高温(1250度位)で焼成しなければ掛けた釉薬は溶けません。





ここまでが、「陶器と文化<前編>」です。
「陶器と文化<後編>」では、日本や世界の様々な陶器鉢をご紹介していきますので、お楽しみに。











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