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◎品種別育て方 |
芝生 |
講師:花ごころ研究室 河合秀治 |
芝生の種類や特徴によって、それぞれ生育に適した地域があります。
このことをご存知の方は多くないようですので、この機会に覚えておきましょう。
冬に表面が枯れる暖地型芝 (高麗芝、姫高麗芝、野芝など)
■POINT■■■
東北南部以西あまり雪が積もらない地域に適しており、
一般的に苗で平米単位で販売されています。
注)四国、九州、沖縄は、
日本芝でなくバーミュダーグラス類も適しています。
冬も表面が枯れない寒地型芝 (ケンタッキー・ブルーグラス、ベントグラスなど)
■POINT■■■
東北北部から北海道など雪が積もる地域に特に適しており、
種で販売されています。
※ゴルフ場のグリーン上の芝は、ほとんどが洋芝です。
芝生は、排水の良い土壌を好みますので、芝生を張る前に行わなければならない重要な作業があります。
まず、庭の土を10cm〜20cm位掘り返し、掘り返した土の2〜3割ほどの量の川砂か山砂を混ぜます。
これによって排水の良い、芝生の苗床のための土づくりができます。
地域によっても異なりますが、全般的に日本の土壌は酸性に偏る傾向がありますので、
土壌がPH6位になるように消石灰か苦土石灰で土壌改良をします。
目安として1平方メートル当たり100g〜200g位を苗床土に混ぜてレーキ、板トンボなどで平らにしましょう。
この時、地面の排水や雨水などの流れも考慮に入れ、水たまりができないようにします。
石灰などをまいた場合は水に触れると熱を持ち、根や種を傷めるので、水をまいて4〜5日過ぎてから芝張り、
種まきを行います。その際に元肥として芝用肥料を説明書にに従って混ぜ込みます。
■目地張り■■■
■ベタ張り■■■
■市松張り■■■
■条張り■■■
1平方メートル当たりの量が、芝の種の缶などに記載されているので、その量に従ってまきます。 まき方は、まく総量を4分の1ずつ縦方向、横方向、縦方向、横方向に、ムラが出ないように丁寧にまきます。
目土は、園芸店、ホームセンターなどで購入し、芝を張った後に表面が平らになるように施します。
この時、芝の表面にはうっすらと目土が入るようにします。
それでもでこぼこになりがちですが、これを直すためには、目土を数回に分けて施すようにします。
目土を施した後には、レーキ、板トンボ等で平均化し、芝生の中にすり込むようにします。
芝の種まき後も1〜1.5cm程度目土を施します。
目土入れ後の灌水時にメネデールの100倍液を1平方メートル当たり1リットル程度与えると活着を促進し、
芽出しを早めます。
芝の生育期4月〜10月まで最低月2回は行います。生育旺盛期は、できれば週1回。 刈り込み高さは10〜20mmで。芝刈り機を使用すると便利です。
芝張り、種まき後の芝刈りは、しっかり根付いた後、芽が出そろった後に行います。
半年間は、機械を使用せず芝刈りバサミで丁寧に行う方が良いでしょう。
生育期には1か月に一度、1平方メートル当たり一握りほどの粒状の芝用肥料を施すか、
液体の芝肥料を薄めて与えます。
粒状の肥料を施した後、葉に直接肥料が触れていると肥料焼けが起こるので、必ず灌水します。
夏場の高温で日本芝も洋芝も夏枯れを起こします、
このような時は、液体の芝肥料を通常より薄めて与えるようにします。
芝の色が今ひとつ良くない時などは、2価鉄イオンのメネデールの100倍液を与えると、
葉の色を良くなります。同時に2価鉄イオンの発根効果で丈夫に育ちます。
目土入れは年2回位、定期的に芝生の生育時期に行いましょう。
なるべく厚い目土はさけます。
特に晩秋の厚い目土は、春先に黄化したり、春はげ症を生じやすくなります。
雨が多いと土壌中の空気が少なくなり、枯れ死することもあります。
そうならないように、穴あけ作業を行います。水はけと同時に通気もよくなります。
特に芝生の一定の場所に水たまりが出来るような場合は、目土と穴明けを確実に行います。
穴明け機は、園芸店、ホームセンターで「芝生用穴かけスパイク」などの名称で販売されています。
芝生の枯れた葉、茎、根などの繊維状のものをサッチと言います。
サッチは、水の浸透を妨げ、肥料などの効果を弱めます。
また、病気や害虫の温床になります。
レーキ、熊手や竹ホーキでを強くかけるとサッチを取り除くことができます。
朝早く、もしくは夕方日が陰ってから芝生に均一にかかる様に灌水します。
夏場に日照りになると、葉がよじれたり青黒くなります。
暑中の日中の灌水は、病気の原因になるので注意しましょう。 広い庭の芝生には、スプリンクラー、自動灌水装置をつけると便利です。
芝生の中にはびこる雑草は、
手間はかかりますが一本一本根から抜くことが最適な除去方法です。
ただ、芝生用の除草剤で防除も可能ですので、
時期と雑草の種類に応じて芝生用除草剤を使うのもいいかもしれません。
日本芝の場合、3月〜4月上旬、葉が枯れている時期、
9月〜10月頃に芝生用除草剤を使って防除することが出来ます
(発芽前処理剤、テマナックス、パナフインなど)。
発芽前処理剤とは、芽を出している雑草には効きませんが、
これから出てこようとしている雑草の種を枯らすものです。
主に1年雑草用で、洋芝には、使用できません。
また、発芽してしまった広葉雑草にだけ効く芝生用除草剤もあります
(ザイトロン液剤、MCPソーダ、DCBN粒剤など。イネ科雑草には、効きません)。
■芝生の主な害虫■■■
ヨトウムシ・シバツトガ
有機リン剤系殺虫剤(スミチオン等)、トアロー、アクテリック、オルトラン粒剤、デナポン5%ベイトなど
■芝生の主な病気■■■
1)ブラウンパッチ (部分的に褐色にはげが大きくなる)
ダコニール1000、オーソサイド水和剤など
2)春ハゲ病 (白褐色の斑点で芝の生育が悪くなる)
ダコニール1000
3)ラージパッチ(部分的に大きくはげる) ロブラール水和剤など
4)サビ病
(春、秋発生、黄色くなり衣服に粉が付く)マンネブダイセン、サプロール乳剤など
言うまでもありませんが、芝生の病害虫は早めの防除が必要です。
芝生を育てるのは、多少手間がかかりますが、庭に広がる緑の絨毯は、
庭を彩るさまざまな植物を美しく素晴らしいものに演出します。
愛情を注いで大切に育てれば一面緑の絨毯となり、ガーデンチェアに腰掛けてビールやお茶を楽しむなど、
芝生を目にしながらの幸せなひとときを過ごすことができます。 さあ、庭に芝生を育てましょう!
ワンポイントアドバイス
●芝生の肥料として液体タイプがあるのを知ってます?
粒状の肥料を施した後は、葉に直接肥料が触れていると肥料焼けが起こるので必ず灌水しますね。
液体タイプの芝肥料原液は、液体で薄めるため、肥料焼けの心配がいらないのです。
夏場の高温で日本芝も洋芝も夏枯れを起こします、このような時は、液体肥料を与えましょう。
鉄分の効果で葉の色を良くすると同時に、根を活性化させることができます。
その次に肥料の効果が効き始め、芝の夏枯れを防ぎます。
■芝生の主な病気■■■
常は、生育期に2週間に1度1000倍に薄めジョウロで灌水します。 夏枯れで弱っている時は、1500倍〜2000倍で灌水します。 芝生以外に全ての苔類及びアイビー、シダ類などのグランドカバーに使用できます。
芝肥料
7+5+5+鉄+微量要素入り ※国内でもめずらしい液体タイプです
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