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◎園芸の歴史 |
鹿沼土、赤玉土の話 |
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鹿沼土・赤玉土が園芸に使われるようになったのは、大正12年ごろからと言われています。
サツキの栽培が全国的にブームになったのは昭和30年代後半ですが、そのころから、鹿沼土・
赤玉土が農家の副業として採取され始め、現在にいたっています。
鹿沼土は群馬県の赤城山の火山灰土の一種が栃木県鹿沼地方に降り積もり、噴火時の風向きに
より比較的砂分を多く含んだものが、いわゆる「硬質鹿沼土」と呼ばれます。
とりわけ、八幡平地区で採掘されるものが有名です。しかし、硬質、上質など品質に関しては基準
があいまいで、いいものを選ぶには、生産者の基準に頼るしかないのが現状です。
赤玉土は関東ローム層として広く分布されており、元々は赤土とよばれ、粘土質が多く、園芸用土
としては不向きでした、これを何とか有効活用できないかという発想から、粒状にして、通 気性を
向上させることで 一般に広く知られる、園芸用土として開発されたのです。
これも硬質、上質、などとパッケージには明記されておりますが、鹿沼土同様基準がありません。
硬質の方が崩れにくく、いつまでも団粒構造を保ち、通 気性に優れていると言えるでしょう。しかし
一般的には、盆栽、サボテンなどには硬質を用い、観葉植物や草花には上質が使いやすいとされて
います。
硬質、上質の見極めの一つとして、水をいれたコップに用土を入れ、かき混ぜてみて、崩れなければ
硬質と判断しても良いでしょう。
用土地層
採掘現場から掘り上がった状態の鹿沼土の原料。これから、いくつかの工程を経て製品化される。
第1段階として、まずは掘り立ての原料の乾燥からビニールハウス内で行われる。厚さ5cm程度に敷き詰め、
何度と無く天地返しが行われる。乾燥まで、夏場で約7日間冬場だと倍の時間を要する。
石ころ、ごみなどの不純物を取り除く作業。完全な手作業の為、かなり腰に負担が掛かる。
しかし、ここで不純物を取り除かないと上質な製品にならない。
乾燥した原料の選別機械。上部のふるいによって、大粒、中粒、小粒、細粒、カスと分けられ、
分別サイロに蓄積される。上質の原料を使用しないと、ふるいにかかった後はかすばかり出る。
出来あがった原料を製品にすべく袋入れ作業。今は、計量・袋入れ・積みこみまでが全てオートメーション化され、
一台の機械で1日に約2,000袋の製品が出来あがる。 これから、皆さんの待つ園芸店へ運ばれる。
これらの鹿沼土や赤玉土は「有限資源」であり、採集量の多少に拘わらず、何年後かには消滅することが
考えられます。
鹿沼地方の園芸用土業者の埋蔵地域の調査をしたところ、鹿沼土は約25,290,000m3(埋蔵面積約2,810ha)
赤玉土は約21,089,000m3(埋蔵面積約2,636ha)と算出されました。
この客観的データと現在の埋蔵量、採集量(消費量)を対比させ、あと何年ぐらい採取できるかを予測して
みると、「鹿沼土」で40年〜50年、「赤玉 土」で15年〜20年という推定採取可能年数が予測されました。
もちろんこの数字はあくまでも予測数ですが、将来的には、これら基本の用土が消えてなくなる可能性も
充分に考えられます。植物同様に土も大切にする必要があるのではないでしょうか。
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