果樹、庭木類では落葉するものも多く、常緑樹でもこの時期は枝葉の生長がないため、
カイガラムシの寄生した部分が一年中でも目立ちやすい時期とも言えます。
また、暖房が行き届きとどいた室内の観葉植物などでは、年間を通じてカイガラムシの成育が続くこともあります。
カイガラムシの生態を抑えて的確な防除をしたいものです。
アブラムシと近縁の昆虫で、実はセミやウンカと同じ仲間で、国内では約400種類確認されています。
名前の由来は体がロウやワックスで作られた「カイガラ」で覆われ、植物の表面に固着しているからです。
一部ですが足があって動き回る種類もいます。
この「カイガラ」は乾燥、風雨を避けるだけでなく、外敵から身を守るための「ヨロイ」の役割も果たします。
薬剤が効きにくく退治がしにくいのはこういった理由からです。
タマカタカイガラムシ
カメノコロウムシ
大部分の寿命は1年以下で、年間1〜数世代繰り返します。
卵はカイガラの下や親の体の下に産み付けられるため気がつかないことが多いです。
卵から孵化したばかりの幼虫には脚がありますが、移動する範囲は限定されており、
風や人間の衣服に付いても運ばれます。なお、成虫は植物に固着すると脚が退化してしまうものが多いです。
カイガラムシは死んでもすぐに落ちてきません。
それは前述のように植物に固着しているためです。
したがって一般の害虫のように退治されたのかどうかの判別がしにくいのです。
こんなときはつぶしてみると判別できます。
薬剤を散布してから10日〜2週間ほどたってからつぶしてみて、赤い体液が出るようであれば生きており、
死んだ場合はひからびてきます。
カイガラムシは果樹、庭木類、観葉植物、サボテン類の枝、葉などに寄生するほか、
根に寄生する種類もいます。
環境的には室内や風通しの悪い場所、そしてほこりっぽい場所に発生します。
このような環境では植物も丈夫に生育できず、
植物自体が弱ってしまうためカイガラムシも寄生しやすくなります。
冬期は植物も休眠しており、薬害が出にくいため屋外の庭木類では比較的強い薬剤を利用できます。
昔からこの時期には石灰硫黄合剤やマシン油乳剤が利用されてきました。
家庭園芸では観葉植物を含む花木・庭木類のカイガラムシ退治薬として「ボルン」、「ポロポンV」があり、
室内植物には、年間を通じて利用することができます。
実は一部の動き回るカイガラムシを除いて、
固着タイプのものは薬剤散布の前に歯ブラシなどで擦り落とす方法も「裏技」の一つです。
成虫は脚が退化しているため再度固着せず、効果的に退治できるのです。
■ボルン
成分/マシン油
高品質のマシン油を使用しており、薬害が少なく、新芽の展葉期を除きいつでも使用できます。
[ワンポイントアドバイス]
民間療法として、ハダニ退治にも使用されているようです。
■ポロポンV
成分/ブプロフェジン、ペルメトリン、ミクロブタニル
カイガラムシだけでなくケムシ、アブラムシ、うどんこ病などの病害虫を広く防除します。
[ワンポイントアドバイス]
成分の「ブプロフェジン」はIGR(Insect growth regulator:昆虫成長制御剤)といって
薬剤が散布されれば、産卵を抑制したり、脱皮を阻害する付加価値の高い成分です。
冬期にこの成分がかかれば翌春成虫の産む卵にまで影響を及ぼし効果的な防除ができます。
園芸サポート → 防虫対策 → カイガラムシの防除
|